【事業計画と同じぐらい重要!】ライフプランが必要な3つの理由

開業の知識

はじめに

 こんにちは、開業医専門の非販売系FPの白波瀬です。
金融商品や不動産を販売しない中立の立場で、開業医の皆さんに本当のお金と金融情報を発信しています。
本日は「開業前のライフプランの必要性」について、プロのFPの立場から書きたいと思います。

 結論から申し上げると、開業を検討するドクターは事業計画とともに、個人の資産計画=ライフプランを作成しておいた方がいいですよ、という内容になります。

 今回の投稿では、開業予定の先生が開業前にライフプランニングを作成いた方がよい理由とその根拠について説明していきたいと思います。(少し私の主観もありますが・・・)

そもそもライフプランとは

 ライフプランとは、人生設計のことです。語感としては、 人生設計が職業観、結婚観、生きがい、居住地など個人の充足感に主眼をおいた設計であるのに対し、 ライフプランは、主に金銭面からの生活設計を指すことが多いとされています。(※Wikipediaより)
 イメージとしては以下のような表や図を思い浮かべて頂くと分かりやすいかもしれません。

 ●家族構成や現状個人資産のまとめ


 ●15年間の家計のCF表


 ライフプランを作成することで、自分の個人資産の現状や今後の資産推移、予定支出などを数値化(見える化)すことができます。
それでは、開業前のドクターがこの「ライフプラン」なるものを作る理由はどこにあるのでしょうか?

ライフプランを作成する理由

 開業を考えるドクターにライフプラン作成をお勧めする理由は3つあります。

理由① リタイアメント資金を自分で準備する必要があるため

 一つ目の理由は、開業医は勇退時期を自分で決めて、リタイアメント資金を自分で準備する必要があるからです。
仮に40歳で開業をして、30年後にご勇退された場合、自分で老後資金を準備しないと70歳から資産がまったくない状態で、国民年金からの収入のみで老後生活(20年~30年間)を送ることになります。
ちなみに、国民年金の満額支給額は月65,000円です

 特に現役時代中に高額の報酬を得る方が多い開業医にとって、現役時代に比べてかなりギャップのある生活を強いられることになってしまいますし、現実的ではありません。
 ただ、他人事のように聞こえるかもしれませんが、実際に私のもとにご相談にこられた開業医の先生が現状のライフプランを作成したところ、80歳までに老後破産(総資産が0円以下になる状態)してしまうといった、シミュレーション結果になるようなケースも少なくありません

 このような状態に絶対自分はならないと皆さん言い切れるでしょうか?
「独立開業」は先生にとって、人生とお金に関する最も大きなライフイベントの一つです。
開業前にしっかり自分の人生の出口戦略を立てることをお勧めします。

目美臼 太郎
目美臼 太郎

引退後の計画は勤務医とは違い、事業主ならではの計画が必要そうだね。

理由② 計画的で無理のない節税対策を行えるため

 二つ目の理由は、計画的で無理のない節税対策を行えるからです。
勤務医の先生もすでにご存じのとおり、日本は所得の金額に応じて税率が上がる「累進課税制度」を採用する国です。

 ●所得金額と税率の一覧表
 
 勤務医、開業医ともに多くが33%~45%の高税率の所得層の方がほとんどです。このコラムを読まれている先生の中にも、毎月、給料明細を見て高額な納税額・社会保険料に憂鬱な気分になられている方が多いのではないでしょうか?

 また、開業後、医院経営が順調に推移するとそれに比例して、年収も上がっていきます。
開業医の平均年収は科目にもよりますが、約2763万円となっています。(下記資料参照)

 仮に年収2000万円の事業収入(または役員報酬)の先生が30年間実働した場合、所得税だけで、約1億5630万円!住民税を含めると なんと!2億1000万円以上を一生涯で納税をすることになります。
(分かりやすくお伝えする為、控除等を考慮せず簡易計算しています)
納税額だけで億り人になってしまいますね・・・。

 納税は国民の義務ですので逃れることはできませんが、公的制度や税法上認められる税務対策を行うことで、上記のような多額の納税負担の大幅な軽減を図ることは可能です
その為に、そもそも自分は開業後にどれくらいの税率になり、納税額はいくらになりそうか?どんな国の制度や税務対策があるのか?
 ライフプランを作成して全体像を把握しておくことは有効はアプロ―チとなります。
特に開業医は勤務医時代に比べて税務対策で行える手段や節税できる金額も増えます。
税務の知識はその後の人生を大きく変えます!開業前に最低限の知識を勉強しておきましょう。

目美臼 太郎
目美臼 太郎

生涯の納税額まで考えたことはなかったな・・・

生涯を通しての計画的な節税ができれば、節税額はかなり大きくなりそう!

人生設計や節税には保険も役立ちそうだな・・・

理由③ 医院経営と人生の成功にも好影響があるため

 三つ目の理由は、ライフプランを考えることが、医院経営と人生の成功にも好影響があると考えるからです。すみません、これは統計がある分けではなく、8年間ほど開業医に特化してFP業をしてきた私の主観になります。
 顧問に入らせていただくお客様とはその後、長いお付き合いとなることが多いのですが、ライフプランを作成後、その先生の医院の売上があがったり、プライベートも含めた人生の幸福度が上がったというお声をよく聞かせて頂きます。

あくまで推測ですが、開業時はまず医院を軌道にのせること、売上を上げること邁進されてきた先生が、もっと本質的に
・自分の今後の人生をどのように過ごしたいのか?
・何のために開業をして、なぜ掲げる売上目標を達成するのか?
・事業を今後どのように展開し、医院の出口はどうするのか?
など、
今後の人生計画や、その計画に沿った医院の方針等を明確にされたことに要因があるように感じています。

 今、開業をご検討されている先生にもさまざまな開業動機があり、それぞれの事業計画があるかと思いますが、開業前に「人生の目的や目標とその達成計画」も同時に、ライフプランを通して作成してはいかがでしょうか?
個人的には、自分の価値観を反映した、より軸のある医院の理念やビジョン、事業計画の立案に繋がるように思います。

目美臼 太郎
目美臼 太郎

理念やビジョンは開業構想の際にも重要だったね!

まとめ

 ここまでで、ライフプランを作成することによる「経済的メリット」とクリニック経営自体にもプラスの効果が期待できる副次的なメリットをお伝えしてきました。

無計画は失敗を計画をすること

という言葉があります。

 ライフプランの作成は個人の経済的成功、ひいては事業の成功を計画することに繋がります。仕事柄、事業は成功しているけど、人生は失敗している(幸福ではない)という先生にも出会います。
私自身はドクター自身の幸せの先によい医療があると考えています
事業の成功と共に、人生の幸福も同時に追求、達成して頂きたいと心から願います。
その為に、開業前の「ライフプランを作成」を是非、ご検討ください。

この記事を書いたメンバー

K’sWealthManagement/白波瀬 勝之しらはせ かつゆき

業界10年目の独立系ファイナンシャルプランナー。(株)リクルート、外資系保険会社、開業医に特化した不動産ベンチャー企業での勤務経験を経て独立。顧問契約を収益の柱にしながら「顧客本位のFPサービス」を提供する本場米国のファイナンシャルプランナーのあり方に感銘をうけ、「商品提供を行わないお金のプロ」をコンセプトに、中立の立場で開業医に「資産運用のコンサルティングサービス」と「資産管理の顧問業」を提供しております。企業リンク

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