医院開業を成功へと導く鍵とは
突然ですが、先生方は大学受験の際、何の準備もなしに臨まれましたでしょうか?
答えはNoだと思います。
医学部の受験日から逆算して、現時点でなにをどこまでできるようになっていないといけないか綿密に計画をたてていらっしゃったのではないでしょうか。
また事前に予習し、できなかった所を繰り返し復習し、万全の状態で受験に臨まれたと思います。
ではクリニック開業の時はどうでしょうか?
クリニックの開業はその形態にもよりますが、金融機関から多額の融資を受けて開業する先生がほとんどです。そのため、失敗は許されません。昨今の少子高齢化、医療費高騰に伴う診療報酬の改定、新型コロナの影響を踏まえると以前にも増してより慎重に開業を検討する必要があると思います。
にもかかわらず、開業計画書を単なる数値の羅列ととらえ、深く検討しない先生が残念ながら一定数いらっしゃいます。それでも開業してからすぐ軌道に乗り、うまくいく先生もいらっしゃいます。
一方で、開業後しばらくしても軌道にのらず、問題点を洗い出した結果、当初の開業計画書が甘かったという先生も残念ながら一定割合いらっしゃいます。
開業は先生や先生のご家族にとって一世一代の転機です。
その失敗できない開業を成功へと導く鍵となるのが「開業計画書」です。
開業計画書の意義
ここからは開業計画書の意義についてお話したいと思います。
開業計画書を作成する目的は金融機関からお金を借りるためではありません。
端的に申し上げて
「この計画で開業したら1日あたり何人の患者を診ないといけないのかを把握する」
ことにあります。
金融機関からお金を借りることが目的だと思っていた・・・
本当の目的はクリニックの開業を成功させることだね!
目的を間違えると計画倒れになる可能性も・・・
弊所の場合、まず先生に下記情報をお伝えするようにしています。
(1) 損益分岐点
(2) 事業分岐点
(3) 生活分岐点
損益分岐点
損益分岐点は売上-費用=0になる点。
事業分岐点
事業分岐点は売上-費用-借入の元本返済=0になる点。
つまり、医業収入によって医業経営に係る費用と借入の元本返済がまかなえる点を意味しています。
生活分岐点
生活分岐点は売上-費用-借入の元本返済-生活費=0になる点。
つまり医業収入によって医業経営に係る費用と借入の元本返済、先生のご家族の生活費がまかなえる点を意味しています。
1日あたりの患者数が達成可能かどうか
1カ月の売上がどれ位ないといけないのかを把握しただけでは抽象的でピンときません。
そのため1カ月の売上を1日辺りの患者数に変換して、その患者数が実現可能かどうかを先生にご確認頂きます。
大事なのは「開業計画で算出された1日あたりの患者数が現実的に達成可能かどうかを吟味する」ことです。
もし、なかなか実現が難しいと判断された場合、以下の内容を実際に契約を締結する前にもう一度見つめ直す必要があります。場合によっては開業地自体を変更する可能性もでてきます。
・内装工事や医療機器等の設備投資の額は妥当な範囲内か
・初期の人員計画に無理が無いかどうか
・家賃等主たる経費が過大でないかどうか
業者に全てを任せるのではなく、先生自身も経営者としてコスト意識をもち、このクリニック開業が実現可能かどうか、シビアな目で検討することが大事になってきます。
事業計画は作成段階で、都度見直す必要があるね。
そうすることでブラッシュアップされて、成功する確率が高くなっていくのか!
金融機関との交渉について
続いて大事になってくる金融機関との交渉に関してお話したいと思います。
ポイント①
まず大事なのはそもそも論ですが、クリニックの開業融資に力を入れている銀行に開業の相談をすることです。クリニックの開業融資に力を入れている銀行とそうではない銀行とでは提示してくる条件に雲泥の差がでます。
ポイント②
次に必ず複数の銀行に話をもっていくことです。
1行だけに相談をもっていくとライバルがいないため、好条件を引き出せない可能性があります。2~3行ほどには相談し、条件提示をしていただき、比較・検討ようにしましょう。
金融機関との面談でよく質問されること
最後に実際の金融機関との面談でよく質問されることをまとめてみましたので、実際の面談に臨まれる際にご参考になれば幸いです。
おおよそ30分~1時間程の面談で終わることが多いですが、先生と色々なお話をする中で金融機関の方は先生の話し方や姿勢、お人柄などを注意深く観察しています。
できるだけ丁寧に対応し、心証を良くしておくことも好条件を引き出すためには必要であることを最後にお伝えさせて頂きます。
計画書だけでなく人間性も見られるんだね!気を付けよう!
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