【クリニックの動線を意識した】レイアウト設計のポイント

開業の知識

クリニック設計の考え方

 このページを開いている先生方は、これまで事業計画など開業の準備にある程度イメージをお持ちになり、いよいよ形にしていく作業に取り掛かる段階にいることと思います。
 ご開業の立地候補が決まりましたら、次に先生が思い描くクリニックが収まるか実際にレイアウトを考えてみる段階に進むことになりますが、ここではクリニック専門の設計施工会社の立場から見たクリニック設計をする上での考え方と注意点のいくつかをご紹介させていただきます。

病院とクリニックにおけるレイアウトの考え方の違い

 ほとんどの医師開業される先生方は、期間や規模など大小あるにせよ病院でご自身の専門領域における医療を提供されてきたと思いますが、クリニックを開業されると、医師としての仕事以外に「事務的な仕事」「看護的な仕事」「検査技師的な仕事」さらに重要な「管理者・経営者としての仕事」を行うことになります。病院では「分担されていた仕事」が、クリニックでは「全体的な仕事」を把握した上で複数の仕事を兼務しなければならず、それは先生だけではなく、スタッフも含めて同じことが言えます。

病院のレイアウト例

 例えば、病院では「受付スタッフは、受付業務を行い、受付にしかいない」というように「人も業務も室も」分担されている傾向があります。そのために病院設計では分担された「人・業務・室」の機能を「効率よく廊下で結び付けていく」発想になります。

機能を結ぶ「線形プラン」のイメージ

クリニックのレイアウト例

 一方、小規模でスタッフの人数も少ないクリニックでは「受付スタッフは、受付以外の業務をすることもある」「先生が検査技師の業務もする」というように各々が他の業務も兼務し、他の室でも働く傾向があります。そのため、小規模クリニックでは「兼務しやすく重ねていく」という発想で設計しないと「使いにくく、無駄が多い設計」になってしまいます。

機能を重ねる「面型プラン」のイメージ

目美臼 太郎
目美臼 太郎

病院とクリニックでは仕事のしかたが変わるので、レイアウトにも違いがでるんだね!!

人やカルテの動線を意識する

 動線にはいくつか種類があります。

表動線=患者さまもスタッフも入れるエリア
裏動線=スタッフしか入らないエリア

 この動線が交ざると患者さまとスタッフが交錯し、小規模クリニックでは非常に使いにくいプランとなります。また人の動線以外に「カルテや書類などの動線」も意識する必要もあります。

目美臼 太郎
目美臼 太郎

動線は人だけではないんだね!カルテや書類の動線も考慮しよう!

設計を進めるうえでの注意点

 設計を進めるうえでの注意点を3つあげさせていただきます。

法的にクリニックができないかも!?

 クリニック用として紹介された物件でも、消防法や建築基準法など法的な制約があり、そもそも希望のクリニックが作れなかったり、建物全体に防災設備の追加が必要になり多額の費用負担が発生したりといったケースが時々あります。

排水位置によって平面プランの自由度が左右される!?

 排水位置や条件によってWCや流しなど水回りの設置位置が限定され、自由に出来ないことがあります。レイアウトを考える上で重要なため、私たちがはじめに確認する項目です。

電気容量により医療機器が使えない!?

 テナント物件ではこの電気容量が予め決まっていることが多く、医療機器(エックス線機器など)の必要電気容量が確保できないと使用できない場合があるので注意が必要です。

 他にもありますがクリニックの設計をする上ではクリニックならではの知識や考え方、注意点があります。是非、物件を決定してしまう前に信頼できる設計事務所や建築業者に物件を見てもらい、思い描いている診療が可能か確認してから、クリニック設計を進めていただけたらと思います

この記事を書いたメンバー

株式会社コンパス/鈴坂 知己すずさか ともみ

関西を中心に、新築新装改装合わせて 600 件以上の実績をもつ、クリニック専門の設計施工会社。設計や工事の枠を超えてプロジェクトをトータルに捉え、専門知識と経験とアイデアで、医院の建物面でのサポートをさせて頂きます。企業リンク

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