開業する立地が最重要
診療所は増加を続ける一方、外来医療需要は2025年をピークに減少に転じると予測されています。診療所は都市部に集中し、競争の激化が予想されるとともに、厚生労働省の医師偏在対策によって外来医師多数地域における新規開業には特定の機能を求められるなど一定の条件がつけられています。
こうした診療所を取り巻く環境や地域の特性、需要などのデータを理解し、多角的な視点で開業地を選定することが求められます。
医業収入は診療単価×患者数で算出されます。診療報酬は自身の努力で変えられるものではなく、診療単価を上げることは容易ではありません。開業を成功させ安定した医院経営を実現するには、患者数の確保が鍵となります。そのためには患者候補となりうる在住人口が多く、しかも競合施設の少ない地域を見つけることが重要です。
診療圏調査とはそのエリアにおける1日の来院患者数を人口統計や受療率(厚生労働省発表)をもとに客観的に予測するものです。予測患者数が多ければ医療へのニーズが高く、反対に、予測患者数が少なければ人口に対して医療機関が十分にあるということになり、新しく開業してもニーズが高くない可能性があります。
開業する立地でだいたいの医療収入がわかるんだね
診療圏調査を行う会社の選び方
「開業場所の選定」において、一定の評価指標となるので、診療圏調査は正確に行わなければなりません。現実に即した診療圏調査かどうかで予測患者数は大きく変わってきます。診療圏調査自体は市販ソフトもあるため誰でも簡単に行うことができます。しかし、信頼性のあるものとなるとそう簡単に作れるものではありません。より現実味のあるデータにするためには、それだけ多くの調査や培ってきた経験が必要になります。
多くの会社が診療圏調査を行っていますが、結果だけで判断せず、必ず調査方法、算出方法、使用データを確認し、信頼できる会社の調査を選ぶことが重要です。
入力するデータがいいかげんだと正確な結果がでないのか!
会社の選定には調査方法、算出方法、使用データを確認しよう!
診療圏調査にける確認のポイント
診療圏の設定においては、都市部と車社会の郊外のエリアでは診療圏が異なる場合が多く、また婦人科や泌尿器科など、医院数が少ない科目の場合は広く診療圏を取ることがあります。特に河川・線路・幹線道路などで分断されがちな診療圏の設定は適切かどうかも確認しておくとよいでしょう。
人口データは国勢調査や住民基本台帳など様々なものが公表されています。都市部では大規模なマンションが建設されることで大きく在住人口数は変わります。最新の在住人口データを使用しているかは必ずチェックしましょう。また、オフィス街での開業を検討する場合は在住人口だけでなく、昼間人口を使用した調査も行っておくとよいでしょう。同時に、開業後の人口がどのように推移していくかを開業前に把握しておくことは戦略を立てる上でもとても重要です。将来推計人口も人口データとして発表されているので確認しておくことも重要です。
診療圏調査の設定によって結果は大きくかわるようだね。
・科目にあった範囲の診療圏か
・最新の在住人口データか
・オフィス街では昼間人口でも調査
・開業後の人口の推移
以上の項目は確認しておこう!
競合施設の分析
最後に、競合施設の情報は最新で正確かも必ずチェックしましょう。最新のデータでないと近隣の競合施設が反映されていなかったり、閉院した施設が競合施設として残っていたり現状を反映した正確なデータとは言えません。競合施設のリストと同時に、各施設の院長年齢や勤務医師の数、患者数など施設の状況も把握できる範囲は調べておくとよいでしょう。
競合のクリニックの有無だけでなく、院長の年齢や患者数などできるだけ詳細の情報を調べておいたほうがいいな。
まとめ
診療圏調査は開業をご決断する資料として、また事業計画を立てる上での患者数の根拠資料としても必要不可欠なものになっております。診療圏調査のデータをもとに、事業計画や医院レイアウトなどを経験豊富な専門家に相談することで、最適な開業地選定と開業を実現できます。最後には診療圏調査の予測患者数と共に自分の目で現地を確かめ、自分の開業スタイルが実現できそうかを検討したうえで開業地を決めることをおすすめします。
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