診療方針と資金計画
我が国の平均寿命は男女共に過去最高を更新しており、患者の目線からも医療機器も頼もしい存在として貢献しており、開業を志す医師にとって機器の選択は提供する医療の範囲や質にも関わるため、しっかりと検討する必要があります。
医療機器と院内レイアウト
レントゲン等の大型機器は、搬入や設置場所への経路、スペースや天井高、電気容量や機器重量に応じた耐荷重等の観点から導入が難しい場合もあり、院内レイアウトを計画する際にも必要なスペースや放射線防護、遮音や防音、電源・LAN配線計画など事前に機器メーカーとの打ち合わせが必要となります。
欲しい機器が決まっても、大きさが合わないなどの理由で室内に置けなかったら意味がないな・・・
電子カルテの選定
昨今の新規開業クリニックでは、様々な観点から電子カルテの導入は必須になっており、検査機器との連携も重要です。電子カルテには、クラウド型とオンプレミス型があります。
クラウド型の電子カルテ
クラウド型の電子カルテは、インターネットを活用したサービスで、専門業者のサーバーを借りてデータの保存や管理を行います。インターネット環境があれば院内にサーバーを設置せずにシステムを利用可能です。
クラウド型のメリット
初期費用が抑えられる点、メンテナンスや更新作業が不要な点などが挙げられます。クラウド型はインターネット環境があれば、既存のパソコンやタブレットを使用して、システムを利用できます。
クラウド型のデメリット
インターネット接続に不具合が生じた場合システムが利用できなくなり診療に影響が出ることが挙げられます。また、セキュリティを自身で管理する必要があり、どこでも使えることが逆に危険を及ぼす可能性があることも理解しておくとよいでしょう。
在宅診療など外出先で使いたければ、クラウド型が便利だね。
オンプレミス型の電子カルテ
病院やクリニック内にサーバーを設置してデータの管理や保存を行うシステムです。
オンプレミス型のメリット
セキュリティの高さや診療科別のカスタマイズが可能であるという点が挙げられます。オンプレミス型は院内にサーバーがあるため、外部に情報漏洩するリスクが低くなります。また、診療科別のカスタマイズが可能なため、利用上の自由度が高いということは大きな特徴といえるでしょう。
最後に、設定のサポートや操作説明も行ってくれる会社が多いので、安心して利用だけに集中できます。
オンプレミス型のデメリット
初期費用が高い点やメンテナンスや更新作業が増える点が挙げられます。オンプレミス型はサーバーを購入するため、初期費用が高くなりがちです。また、アップデートや更新作業を行う必要があります。
自院向けにカスタマイズしたければオンプレミスを選べばいいのか
機器導入基準
機器は診療に必要なものという側面以外に、検査等の各種診療報酬点数による収入源という側面もあります。クリニックの収入は、検査・処置・手術等が多ければ患者単価が上がり収入が増えます。機器の導入費用やランニングコスト、稼働率、採算面を考慮したうえで、投資効果も導入の判断基準となります。そのために1日何人の検査をすれば採算が取れるのかという視点も必要です。
また、患者自身が検査を要望することもあり、小型化や操作性の向上等で、患者の負担が軽減された機器や内覧会で健康相談会を実施するクリニックもあり、集患という観点からの導入機器の選定も有効と言えます。
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