【トラブらない】電話・ネットワーク環境の構築

開業の知識

クリニックに必要な通信環境の構築の流れ

 クリニックをご開業されるまでには様々な手配、手続き又工事等が必要となってきますが、その中の1つとして電話番号取得やネット回線の開通があります。そしてその通信を可能にするのが弱電工事(電話配線やLANケーブル配線等)です。
 現在の医療機関では電子カルテ導入がマストになってきている為、各医療機器連携など医療機関特有のネットワークの構築が必須となっています。

以下、通信環境構築の流れを簡単にご説明させて頂きます。

電話番号取得手続き

 近年インターネット検索すると、光回線のコラボ業者が簡単に電話番号取得出来るかの様に謳っているサイトが見受けられますが、新規ご契約はNTT(116)へ直接お申込み頂く事を推奨いたします。

プロバイダー契約

 光回線手続きが完了したらインターネットご利用の為にプロバイダー契約が必要となってきます。
こちらもあまりにも月額料金が安価なご契約ですと知らない間にスピード等が制限をかけられていたりしますので要注意です。

電話回線数の確定

 クリニック内で使用する電話は、昨今のワクチン接種や発熱問い合わせ等の為に常時通話中になってしまうクリニックが急増しています。この様な事象を解決する為に、電話回線を2本以上準備し、多機能電話機(ビジネスホン)を導入することをおすすめします。
 多機能電話機には、通話録音システムや点滴ルーム及び患者用トイレ等の呼出コール、院内スピーカーでの呼出など様々な機能が備わっており、スタッフの電話対応の効率化が図れます。
また、最近では院内Wi-Fi構築と同時に外線電話や内線電話とスマートフォンを連携して、インターホン画像を表示させることが可能となります。

多機能電話(ビジネスホン)

目美臼 太郎
目美臼 太郎

患者さんが電話をかけてきたとき話中が多いと迷惑をかけてしまうな・・・。

スタッフの業務効率化もできる他の機器も検討に入れておこう!

複合機(FAX)の選定

 電話回線の申し込み時には電話番号とFAX番号を取得すると事なりますが、クリニックでのFAXはそれだけの機能ではなく複合機(プリント・コピー・スキャン・FAX)と呼ばれる機器が選ばれることが多いです。
 その複合機も量販店にて購入する家庭用の物から専門業者手配の業務用の物まであります。
両者の1番の違いは、耐久性。その次はコストパフォーマンスやメンテナンスとなります。

業務用の複合機

目美臼 太郎
目美臼 太郎

安ければいいというわけではないんだね。
業務での用途や使用頻度などを考慮して費用対効果の高いものを選定しよう!

LAN配線工事

 電子カルテ導入に伴い院内殆どの場所へLAN配線が必要です。電子カルテ用サーバ及びPC、オンラインレセプト請求用PC、オンライン資格請求用PC、インターネット用PC、プリンター、予約システム、自動精算機や釣銭機用等、特に受付カウンターに集中します。
10年程前だとそんなに連携する機器もシステムもあまりなく、敷設本数も少なくて済みましたが、近年では上記に挙げただけでも最低6本~8本は必要となります。

 開業後とても困る「突然ネットが使えない」というトラブルの原因で多いのがHUBの故障です。HUBを分岐しすぎると故障の確率も増えてしまうので、できるだけ少なく設計することが望ましいです。
開業当初から受付カウンターの足元がHUBと配線だらけより、キッチリとモジュラージャックを用意して、すっきりとした環境にするとリスクヘッジにもなりますし、何より使い勝手が良くスタッフの満足度も上がる事と思います。

HUBの設置例

目美臼 太郎
目美臼 太郎

ネットワークがトラブると電子カルテも使用できなくなり、診察がストップする可能性も!

すっきりとしたネットワーク環境の構築が必要だね。

セキュリティ対策

 クリニックで必要なセキュリティ対策は大きく分けて2つ、ネットワークのセキュリティ防犯セキュリティとなります。

ネットワークのセキュリティ

 電子カルテ導入において、また今後導入されるオンライン資格請求等による個人情報の取扱いが厳格化しています。電子カルテには患者の個人情報だけでなく、病歴薬歴等の機微情報が含まれております。オンライン資格請求システムではマイナンバーカード利用する事で紐づく個人情報を取得する事になります。特にマイナンバーカードの取り扱いについては、スタッフの教育も徹底しなければいけません。
 また近年、大学病院の様な規模の医療機関だけでなく、セキュリティ対策が脆弱なクリニックがランサムウェア等のサイバー攻撃の標的になる事が増えています。今後のクリニック運営に際してはネットワーク構築と共にセキュリティ対策機器(UTM)の設置が必須となります。

目美臼 太郎
目美臼 太郎

ランサムウェアって「侵入した企業のデータを人質に、身代金を要求する」やつだよね・・・。

患者さんの病歴など重要な情報を取り扱う医療機関では特に対策が必要だね!

医療情報システムの安全管理に関するガイドラインについて

 厚生労働省が作成している「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」は医療機関が遵守すべきガイドラインです。医療情報システムの安全管理やセキュリティ対策について記載されており、このガイドラインに適合した通信・ネットワークを構築することをおすすめします。

目美臼 太郎
目美臼 太郎

医療情報システムの安全管理に関するガイドラインを理解したうえで、ネットワーク環境を構築できる専門業者に依頼すると安心だね。

防犯のセキュリティ

 クリニックのスタッフや資産はもちろん、患者さんの安全のために防犯カメラの設置が必須となります。先生のセキュリティに対する意識がクリニックを守る事、そして患者を守る事につながります。

 通信・ネットワークについての記事は以上となります。ご開業当初だけでなく何年も先までを見越したご準備の知識の1つとなれば幸いです。

この記事を書いたメンバー

株式会社シンクロイズム/大歳 貴子おおとし たかこ

院内のネットワーク・セキュリティの構築や電話番号を取得しインターネットの手配から工事、OA機器類販売の会社です。ドクターの皆様の意見を尊重し、設計や内装、医療機器メーカーとのパイプ役としてお手伝いさせて頂きます 。企業リンク

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